【キャリアが不安な人へ】”人生の最適化”を図るポートフォリオ理論という戦略

何から手を付ければよいか

SNS等で活躍する同世代を見るたび、漠然とした不安に襲われる夜はありますよね。。

「今の仕事、あと10年後もあるんだろうか？」

「健康を害したら、この先どうなるのか？」

将来が不安で、一時期「とにかく何かやらねば！」と、手当たり次第に手を出した時期がありました。

ジムに行ってみたり、英語学習アプリを起動し、ついでに流行りの「朝活」とやらをして見たり。

まるで「不安のビュッフェ」で、皿に乗り切らないほどの料理を取ってきたものの、どれから食べていいか分からず立ち尽くしている状態。

私たちは「将来が不安」であると同時に、「何から手をつけていいかわからない」という、最も厄介な問題に直面しているのです。

この「不安で動けない」状態を、どうにか科学的にハックできないか？そう思って本を漁ってみました。

そのヒントとは、1990年にノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコウィッツが提唱した「モダンポートフォリオ理論（MPT）」です。

いきなり横文字で「うっ」となった方、安心してください。僕も最初は「モダン…？ポートフォリオ…？」となっていました。

超ざっくり言うと、これは「最強の投資の組み合わせを見つける数学的な方法」です。

投資の世界には有名な格言があります。「卵を一つのカゴに盛るな」。つまり、全財産を一つの株に突っ込むな、分散しろ、と言うものです。

でも、マーコウィッツ先生はこう言いました。

「いや、ただ分散すりゃいいってもんじゃないぞ」と。

例えば、トヨタの株とホンダの株に分散しても、自動車業界全体が不況になれば、両方とも値下がりして大ダメージですよね？これは「値動きの連動性が高い」状態です。

MPTが本当にすごいのは、「リターンは最大化しつつ、リスクは最小化する」ために、「互いに値動きが連動しない資産を組み合わせる」という最適解を数学的に導き出した点です。。

この理論を将来が不安にならないために応用しようと考えました。

僕たちを不安にさせる「将来」とは、まさに不確実性、つまり「リスク」です。そして僕たちは、限られた時間と体力を使って、幸福や安定を最大化しようとしている。

僕がやっていた「不安だから全部やる」は、投資で言えば「分散しすぎ」です。リソースが分散しすぎて、どれも中途半端になり、結局リターン（スキルの習得など）が得られない。

かといって、「この会社がすべてだ！」と一つの仕事に「集中投資」するのも危険。その会社が倒れたら、自分も倒れる（まさに卵が割れる）。

じゃあ、どうするか？

人生においても「モダンポートフォリオ理論」を適用すればいいのです。

僕は、自分の人生を構成する要素を「資産」として捉え直しました。

もし僕が、本業（A）が不調になったとき、同じく景気に左右されやすい「副業（A’）：せどり（例）」だけに集中していたら？両方コケる可能性があります。

でも、僕のポートフォリオには、本業がどれだけ不調でもビクともしない（むしろストレス解消になる）（B）があり、精神的支柱である（D）がある。さらに、本業とは少し毛色の違う（C）が、将来的に新しいキャリア（Aとは相関の低いA”）を生むかもしれません。

人生とは「リスク管理」の問題であり、MPTは「破滅確率」を下げながら「幸福期待値」を最大化する戦略的フレームワークだったのです。

「将来が不安」「何から手をつけていいかわからない」という悩みは、言い換えれば「自分の人生ポートフォリオが、今の時代に最適化されていないかもしれない」というシグナルです。

「人生の最適化」戦略。それは、やみくもに手を出すことでも、何かに固執することでもありませんでした。

最後に、私たちが今日からできる「行動・学び」をまとめます。

自分の「資産」を書き出す今、あなたが持っている「資産」は何ですか？「仕事のスキル」「収入源」「健康（体力）」「趣味」「人間関係（家族、友人、同僚）」「学習していること」…。まずはすべて棚卸ししてみましょう。
それらの「相関」をチェックする書き出した資産同士が、どれくらい連動しているか（相関が高いか）を考えます。「仕事Aと仕事Bが、同じ業界不況でダメになる」「仕事のストレスが、家庭（人間関係）に悪影響を及ぼす」などは、危険な「高相関」状態です。
「相関の低い資産」を1つだけ加えるもしあなたの資産が「仕事」に偏っているなら、仕事とは全く関係ない「趣味（例：柔術、絵画、登山）」や「地域のコミュニティ」という資産を加えてみてください。それがあなたの「人生のリスク」をヘッジ（回避）し、予期せぬリターン（新しい出会いやアイデア）をもたらす「最強の分散先」になります。

いきなりすべてを変える必要はありません。まずは、あなたの「卵」が、一つのカゴに集中しすぎていないかチェックすることから始めてみませんか？