こんにちは、いわしブログです。
前回は、私たちの悩みの正体が「サバンナ時代から続く脳のバグ(ネガティブ・バイアス)」であり、それを「私」という感覚がこじらせている、という序章をお届けしました。
「反芻思考」を解除し、クリアな脳を手に入れる。
今日からはいよいよ、そのための具体的なトレーニング(実践編)に入ります。
記念すべき1日目は、脳の「解像度」を上げるトレーニングです。
なぜなら、私たちの脳は「よく分からないもの」を「とりあえずヤバいもの」と判断するクセがあるから。不安の正体をはっきりさせれば、脳は落ち着きを取り戻します。
なぜ「言葉」にすると不安は消えるのか?
「ムカつく」「ヤバい」「エモい」
私たちは日常的に、感情を便利な言葉で「丸め」てしまいます。しかし、これが脳のフリーズを引き起こす第一歩。
「なんかモヤモヤする…」という状態は、脳にとって「正体不明の脅威」です。脳はこれをサーベルタイガー(脅威)と誤認し、アラートを鳴らし続けます。
ここで有効なのが「感情のラベリング」です。
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の研究によれば、自分が感じているネガティブな感情(例:怒った顔の写真を見る)を、具体的な言葉(例:「これは怒りだ」)で表現するだけで、恐怖や不安を司る扁桃体(へんとうたい)の活動が鎮まることが分かっています。
言葉にするという行為は、脳の「感情センター(大脳辺縁系)」から「理性センター(前頭前野)」へと仕事を引き継がせるスイッチ。
つまり、感情を詳しく説明できればできるほど、私たちは感情に飲み込まれず、客観的に対処できるようになります。
トレーニング1:感情の解像度を上げる「言葉の筋トレ」
心理学者ロバート・プルチック氏が提唱した「感情の輪」は有名ですが、今日はそれをさらに細かく、血の通った言葉にするトレーニングです。
Plutchik氏の「感情の輪」
【悪い例 】
- 「マジでムカつく」
- 「なんか悲しい」
- 「めっちゃ不安」
これでは、脳の扁桃体は興奮したままです。
【良い例(解像度UP)】
❌「マジでムカつく」
✅ → 「期待していた反応が返ってこなかったことで、自分の努力を踏みにじられたような 無力感 と、軽く扱われたことへの 屈辱感 が入り混じっている」
❌「なんか悲しい」
✅ → 「楽しかった時間が終わり、あの高揚感がもう味わえないことへの 喪失感 と、明日からまた日常に戻る 憂鬱さ を感じている」
❌「めっちゃ不安」
✅ → 「まだ起きてもいない未来の失敗を想像し、コントロールできない状況に 焦燥感 を覚え、同時に『自分ならできるはず』という 微かな希望 も感じている」
【小説風に言うのもあり】
- 「怒りというよりは、冷たい水にじわじわと手足を浸されるような、静かな絶望」
- 「不安が、胃の奥で小さなトゲになってチクチクと刺さる。」
<実践法>
1日1回、ネガティブな感情が湧いた瞬間に、スマホのメモ帳を開きます。
「今、私は何を感じている?」と問いかけ、その感情をできるだけ「5W1H」で詳しく書き出してみてください。
トレーニング2:体の”声”を聞く「内受容感覚トレーニング」
感情のラベリングが「心」の解像度を上げるトレーニングなら、こちらは「身体」の解像度を上げるトレーニングです。
内受容感覚(ないじゅようかんかく)とは、心臓の鼓動、呼吸、胃腸の動き、体温など、自分の「体の内側の状態」を感じ取る能力のこと。
最新の脳科学では、この内受容感覚こそが「感情」や「自己(私という感覚)」を生み出す土台であると考えられています。
- 心臓がドキドキする → 脳が「これは不安か、恋か?」と解釈する
- 胃がキリキリする → 脳が「これはストレスだ」と解釈する
つまり、体の変化に鈍感だと、脳は感情の解釈を間違えやすいのです。
「なんか分からないけどザワザワする…(本当はコーヒーの飲み過ぎで心臓がバクバクしているだけ)」といった具合に。
逆に、内受容感覚が鋭い人は、自分の感情を正確に察知し、ストレス反応にも早く気づいて対処できます。
<実践法:ボディスキャン>
- 静かな場所に座り、目を閉じます。
- 意識という名の「スポットライト」を、まず「左足のつま先」に当てます。
- そこは、温かいか?冷たいか?ピリピリするか?何も感じないか?(良い悪いの判断はしない)
- そのままスポットライトを、ゆっくりと「足の裏」「かかと」「ふくらはぎ」「膝」…と、体全体をスキャンするように移動させます。
- 途中で心臓の鼓動や、呼吸でお腹が膨らむ感覚にも気づいてみましょう。
- これを5分間続けます。
<実践法:暗算法(メンタル・トラッキング)>
これは、内受容感覚と集中力を同時に鍛えるトレーニングです。
- 「1000」から「7」を順番に引いていきます。(1000, 993, 986, 979…)
- 暗算(理性センター)に集中しながら、同時に自分の「心臓の鼓動」や「呼吸」にも意識(内受容感覚)を向け続けます。
これがかなり難しいはず。
脳は通常、計算(外的タスク)と身体感覚(内的タスク)を同時に処理するのが苦手です。しかし、これを練習することで、脳のマルチタスク能力、つまり「冷静に考えながら、自分の状態も客観視する力」が鍛えられます。
いかがでしたでしょうか。
本日のトレーニングは、脳の「解像度」を上げること。
- 感情を言葉にし、扁桃体を鎮める。
- 身体感覚を研ぎ澄まし、感情の誤作動を防ぐ。
これらは一見地味ですが、あらゆる悩みや不安の「フリーズ状態」を解除するための、最も基本的かつ強力な土台となります。
まずは「なんかモヤモヤする」を「これは〇〇な感じだ」と言葉にするクセをつけるだけでも、あなたの脳は確実に「最高の状態」へと近づいていきます。
やってみる価値は、大いにありますよ。
(実践2日目へ続く)


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