【ジム・クレイマー流③】成行注文は愚か者の行為!?「損切」できないを卒業する戦略

ジム・クレイマーの投資戦略まとめ

「いくらで買ったか」を気にし始めたら、あなたの投資は終わっている

こんにちは、いわしです。

前回の記事で、「買って放置」という迷信を捨て、「買って宿題をせよ」という新原則を学びました。しかし、宿題をしても、いざ売買のタイミングになると、私の悩みはいつも再燃します。

  • 「損切り」ができない。
  • 「利確」をためらってしまう。

その最大の原因は、いつも頭の中で囁かれるこの声でした。

「この株は、〇〇円で買ったんだから、せめてそこまで戻るのを待とう…」

取得原価という概念に囚われ、過去の価格に固執するこの行動こそ、ジム・クレイマーが「未来志向」の投資家になる上で、最も最初に打ち砕くべき壁だと指摘しています。

本章では、私たちの「感情的な執着」を断ち切り、プロのトレーダーのように未来だけを見て賢く行動するための、科学的・戦略的な3つの鉄則を学びます。


過去の価格は無視しろ

クレイマーは、彼にとってのトレーディングの女神である妻カレンに教わった、最も重要な教訓を打ち明けています。それは、彼がポジションシートに書かれた自分の取得原価の数字に縛られていることに気づき、カレンがその数字を修正液で消してしまったというエピソードです。

鉄則① 未来だけが全て

株の売買において、あなたがどこで買ったか、あるいは過去にいくらだったかは、完全に無関係です。判断基準は、ただ一つ。

「次に何が起こるか(未来)が全て」

あなたの持っている株が今、良い方向へ向かっているのか、悪い方向へ向かっているのか。これだけが、売買の判断基準です。

過去の価格に固執する態度は、あなたの考える力を妨げ、損失を拡大させる原因となります。


ブローカーが教えない「成行注文」という名の罠

「よし、買おう/売ろう!」と思ったとき、あなたは「今すぐの価格で売買する成行注文(Market Order)」を出していませんか?

クレイマーは、この行為について非常に強く断言します。

「成行注文を出すのは、素人と愚か者だけだ」

鉄則② 常に指値注文を使え

成行注文が危険な理由はシンプルです。株式の売買システムは、あなたが騙されることを前提に構築されています。

  • 株価は、単一のドル金額ではなく、買い気配と売り気配という二つの価格で取引されている。
  • 成行注文は、今現時点での価格で売買を成立させますが、特に流動性の低い株高速市場では、あなたが想定していた価格よりもはるかに不利な価格で約定してしまうリスクがある。

ブローカーは手数料を確実に得たいため、注文が成立しない可能性がある指値注文を勧めません。しかし、プロは絶対に指値注文を使います。

指値注文とは、自分で価格を決め、その価格か、それよりも有利な価格でなければ取引しないという注文方法です。


成長こそ全て! 四季報と決算書で測る「本当の価値」

株価は、単なるドル金額ではありません。49ドルの株が400ドルの株より高価であることもあり得ます。なぜなら、株価とは、会社が作り出した単なる「比率」だからです。

鉄則③ PERと成長率で「ライン」を測れ

真に重要なのは、その株が「会社の稼ぎの何倍」で取引されているかを示す株価収益率(P/E Ratio / マルチプル)です。

 \(\mathbf{P=M \times E }\)

  • P(Price/株価): 私たちが画面で見る価格。
  • E(EPS/1株当たり利益): 会社が1株あたりどれだけ稼いだか。
    • (決算書の損益計算書から分かります。四季報では「1株益」です)
  • M(Multiple/マルチプル): 利益の何倍か。つまり P ÷ E

このマルチプルを決定する主要因こそ、「成長率」です。クレイマーは断言します。「成長に勝るものはない」

一貫して成長する優良企業に賭けるには、当然「高い代償を払う」必要があるのです。

いわし流:成長に見合った価格かを判断する方法

四季報や決算書で成長率をチェックする際、私たちはこの「成長率とマルチプルのバランス」を見抜く必要があります。

  1. 四季報でチェック: 「業績」欄の「1株益(EPS)」の推移を過去数年分チェックし、年平均でどれだけ成長しているかを確認します。(業界ごとの成長率の平均を出すとより分かりやすい)
  2. PERを計算: 現在の株価(P)を、最新の1株益(E)で割って、現在のPERを把握します。
  3. 実践的評価(PEGレシオの概念を応用):
    • 「PER(マルチプル)」が、その企業の「成長率」を超えていないかを確認します。
    • 例: 成長率が20%の企業であれば、PERが20倍以下であれば「妥当」または「割安」の可能性があります。もしPERが40倍なら、「高い代償を払いすぎている」と判断できます。

この成長率に釣り合った価格かを判断することが、ウォール街の煽りに惑わされないための、最も実践的な行動です。


勝つための「3つ目の視点」とリサーチの裏技

PERと成長率を見ることは重要ですが、これだけでは「二次元的思考」に過ぎません。プロはさらに一歩踏み込みます。

3つ目の視点:企業買収の可能性を見抜け

クレイマーは、PERや成長率が低い「傷んだ株価」であっても、根底にある事業体の価値が、株価ほど悪化していない銘柄を探します。

  • 具体例: PERで判断すれば「売るべき」とされた株でも、大企業による企業買収の可能性という価値を見抜く。
  • 経験則: 5~6社競争している市場で、「1番または2番目に大きなプレーヤーではない会社」は、歴史的に見て、規模の経済のために買収に屈するケースが多いとされています。

リスク・リワード分析とバランスシートの重要性

株を買う前には必ず、上昇幅と下落幅を冷静に判断し、痛みに耐えられるかを知っておく必要があります。

また、負債を抱えた企業は、景気が悪化したときに株主にとって「命取り」になりかねません。企業の貸借対照表(バランスシート)を見て、負債が過剰ではないか、クリーンなバランスシートを持っているかを見るべきです。


【いわしの結論】感情的な投資を「未来志向」に変える

私の「損切りできない」という悩みは、ジム・クレイマーの教えによって、具体的な「未来志向の行動」に変わりました。

結論

過去の価格(取得原価)に感情的に執着するのをやめ、常に未来だけを見て判断すること。売買の際は指値注文を使い、企業の真の価値はPERと成長率のバランスで科学的に判断すること。

今日から取るべき行動
  • ポジションシートの「原価」に線を引く: 自分の取得原価は意思決定に関係ないと心に刻み、常に未来の成長可能性だけを考える。
  • 指値注文をデフォルトにする: 証券会社の注文画面で、成行注文を「罠」と認識し、必ず指値注文で自分で価格を決定する。

次回以降の連載では、この未来の判断をさらに深掘りし、「いつ買うべきか」と「いつ売るべきか」という、最も難しいテーマについて焦点を当てていきます。

「賢いトレーダーは、いつ株を買い、いつ株を手放すのか?」

次回も、ぜひお楽しみに。

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