【ジム・クレイマー流⑤】株価が動く「直前」を見抜く:セクターローテーション完全解説

ジム・クレイマーの投資戦略まとめ

私の投資は、いつも出遅れてしまう

僕は、投資を始めた当初、いつも「気づけば高値掴み」でした。みんながゴールしている頃に、「あ、走らなきゃ!」とスタートラインを飛び出す、あの出遅れた子供と同じです。

そこでファンダメンタルズを一生懸命勉強しました。「PERが低いから割安だ!」と意気揚々と買った株が横ばい。逆に、世間が「これヤバくない?」と言い出した株がなぜか爆騰している。勉強しているのになぜか自分の予想が当たらない。

私はジム・クレイマー氏の著書を読み、自分の「ロジカル」が、実は、市場の動向を追いかけるだけの愚純な行動でした。

株価の短期的な動きは、ファンダメンタルズだけでは決まりません。クレイマー氏がターゲットにするのは、短期的な大波、いわば投機的動向です。本記事では、この株価の動向を、戦略的思考で、どうすれば先回りできるかという極意を解説します。


株価を動かす「群集心理」を科学する二つの戦略

クレイマー氏の戦略の核心は、株価の基本方程式 \(\mathbf{P=E \times M }\)(株価は予想利益(EPS)×評価倍率M(PER)で決まる)を、企業固有の要因(Eの上昇)とマクロ要因(Mの上昇)の二つに分けて、それぞれ「いつ、何が、株価を押し上げるか」を先読みする点にあります。

これは単なる株の話ではありません。「行動経済学」や「戦略的思考」に通じる、群集心理の動きを読んで先回りする技術です。

伝統的な動き:資金の移動を先取る「セクターローテーション」

大型株の動きは、主にマクロ経済のサイクル、特にFRB(連邦準備制度)の金利政策によって動かされます。ポートフォリオマネージャーは、金利の上げ下げが、次にどのセクターの「PER」を拡大させるかを予測し、資金を移動させます。これが「ローテーション戦略」です。

クレイマーの極意:「アナリストが買い推奨を出す前に買う」

クレイマー氏は、このローテーションの底を見抜くために、アナリストの行動を逆手に取ります。

  • サイクル戦略の鉄則: 株価は、金利が上昇(引き締め)すると評価倍率(PER)が縮小し、金利が低下(緩和)すると評価倍率(PER)が拡大します。つまり、FRBの動きが、セクター間での資金移動(ローテーション)を決定する最大の要因なのです。
景気サイクルFRBの行動主な戦略資金の移動先(買うべき株)
景気後退期利下げを開始ディフェンシブ株を売り、底を打った景気循環株を買う。ハイテク株、金融株、住宅株(不況の底で最も売られた株)
景気加速期中立を維持景気回復が確認された小売株自動車株へ資金移動。小売株、自動車株
景気拡張期利上げを開始景気過熱に強い素材セクターへ資金移動。金属・鉱物、紙・化学(最も景気敏感なセクター)
景気過熱期利上げを継続景気循環株を売り、景気に強いディフェンシブ株へ避難。医薬品、食料品(不況耐性の高い株)

このサイクルは波型に動き、景気後退が始まる前にディフェンシブ株が買われ、景気回復の底で最も売られていたハイテクや金融が最初に買われるという順番で、資金が移動します。

この戦略は、人生の決断においても重要です。「みんながヤバいと言って諦めた瞬間に、新しいチャンスの芽が潜んでいる」という、逆張り思考の鉄則を教えてくれます。

非伝統的な動き:群集心理を制する「ゲーム・ブレイカー」

次に、利益(E)がないか無名な、ウォール街に「カバーされていない」小型株での戦略です。ここでは \(\mathbf{P=E \times M }\) は通用しません。支配原理は、群集心理の力です。

クレイマー氏が探すのは、「次のエヌビディア」や「次のヤフー」のような、爆発的な成長テーマを持つ「ゲーム・ブレイカー」銘柄です。

成功の要素割合視点の重要性
マネジメント40%経営陣の信頼性、ストーリーを語る能力(人間力)
ファンダメンタルズ30%キャッシュフロー、利益の堅実性(詐欺株ではないこと)
テクニカル分析15%チャートの勢い(支持線・抵抗線)
アルファ・ファクター15%浮動株の少なさ、ニュースへの反応の強さ(勢いの加速力)

なんと、最も重視されるのは「マネジメント(40%)」という主観的な要素です。これは、無名な株が大型株への旅を始めるには、「人を惹きつけ、信頼を勝ち取るストーリー(語り)」「それを実行する人間力」が最も重要であることを示しています。参考資料として以下を挙げておきます。

この分野で巨額の報酬を得るための鍵は、熱狂的に取引される株を規律を持って扱うことです。参入前に「元の資本と利益を取り出す」ことを徹底し、熱狂に飲み込まれて損切りできなくなることを避けます。


結論:動きの「先」を読み、感情をコントロールする技術

ジム・クレイマー氏の戦略は、非常に理にかなった合理的な戦略であると思います。

この記事から、すぐに実行できる具体的な「学び・行動」は以下の2点です。

マクロとセクターを理解し、「資金の移動」の底で動く

  • 学び: 経済サイクルの流れとFRBの金利政策というマクロ要因が、市場全体の評価(M)と資金の移動を決定する最大の要因である。
  • 行動: FRBの金利政策の転換点に注目し、世間が特定のセクターを最も見放した(評価倍率が縮小した)瞬間を、景気回復期への転換点として仕込む。

群集心理から一歩引いて「規律」を保つ

  • 学び: 投機的な戦略は、最高の報酬をもたらすが、「感情」が最大の敵となる。特に、小型株の成功を左右する最重要要素は、「マネジメント(経営陣の人間力)」である。
  • 行動: どんなに魅力的な株でも、参入前に「元の資本」を確保する出口戦略を定め、熱狂に飲み込まれないための「損切り」のルールを厳守する。

この戦略的視点を持つことで、あなたは投資の世界だけでなく、人生のあらゆる場面で大きなリターンを掴むことができるのではないかと思います。


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