バフェットがGoogle株の新規購入に踏み切った”事件”
「ChatGPTが世界を変える!」「Googleの検索エンジンはもう古い!」という記事を読むたびに、私は「ああ、また時代に取り残された!」と焦燥感に駆られ、手持ちのハイテク株を売ってしまおうかと一瞬ブレました。
でも、ちょっと待ってください。この「AIバブル」という物語に、私たち投資家はあまりにも簡単に踊らされてないでしょうか?
そこで今回は、まさにこのAI脅威論が吹き荒れる中、なんと「自分のコンピテンス(能力の輪)の外」にあると公言してきた投資の神様、ウォーレン・バフェットがGoogle株(アルファベット)の新規購入に踏み切ったという”事件”を科学的に検証し、私たちが何を学び、どう行動すべきかを解説します。
バフェットがGoogle株を買った理由
巷のGoogle崩壊論
私も当初は、巷の「Google崩壊論」に強い説得力を感じていました。なにせ、ChatGPTはリリース後わずか2ヶ月で1億ユーザーに到達したという、人類史上最速のアプリケーションです。
さらに、ユーザーの40%が、リンクをクリックせずに答えを直接得る「ゼロクリック検索」を利用し始めているという調査もあります。これは、広告クリックで収益を上げるGoogleの根幹ビジネスを直接揺るがす構造変化だと、私はそう聞かされてきました。
しかし、ここにバフェットの登場です。
彼は、なぜこの「Google」に手を差し伸べたのでしょうか? 結論から言えば、バフェットはこの感情的な議論を完全に無視し、データのみ着目したからです。
Googleは本当に崩壊したのか?
バフェットは企業を選ぶ際、競争優位性(いわゆる「モート」)が広いかどうかを最重視します。Googleの競争優位性とは、長年にわたる検索市場の90%超という圧倒的な独占状態です。
このモートがAIによって脅かされているというメディアの言い分に対し、私たちは「財務データ」という証拠をしっかりと見る必要があります。
| 指標 | ChatGPT登場前 (2022年12月頃) | 直近12ヶ月 (2025年Q3頃) | 変化の傾向 |
| 年間売上高 | 2,830億ドル | 3,850億ドル | 増加 |
| 営業利益率 | 26% | 32% | 向上 |
| 四半期検索売上 | 395億ドル | 566億ドル | 43%増加 |
| 1株あたりFCF | 4.59ドル | 6.50ドル | 増加 |
この数字を見てください。
- 売上と利益率の向上 : AI脅威論がピークに達した後も、Googleは売上を伸ばし、しかも利益率まで向上させています。これはビジネスの競争優位性が弱体化するどころか、むしろ強化されていることを示す、投資家にとって非常に強いシグナルです。
- 検索事業の驚異的な成長 : モート崩壊の震源地とされた「検索事業」ですら、四半期ベースで43%も売上が増えているのです。これは、メディアが描くような「検索エンジンからの離脱」が、現時点では財務的な影響を全く及ぼしていないことを示しています。
- 財務の要塞 : さらにGoogleは、手元に約1,000億ドルの現金と、わずか266億ドルの負債しか抱えていません。これは、競合が何十年かかっても追いつけないほどの「財務的な要塞」を築いている状態であり、仮に競争優位性が一時的に揺らいだとしても、巻き返すための時間と資源が莫大にあることを示しています。
一方、ChatGPTの親であるOpenAIは年間12億ドルの売上があるものの、モデルの運用コストが高すぎて、2029年までに150億ドルものキャッシュを燃焼すると予想されています。年間700億ドルものフリーキャッシュフローを生み出すGoogleとは、土俵が全く違います 。
バフェットがGoogleに投資をしたのは、「メディアが騒ぐ華やかなAIとGoogleオワコン説」の裏にある、揺るぎない財務的健全性とモートの強さを冷静に評価した結果なのです。
結論
今回のバフェットのGoogle投資は、私たちが科学的思考をベースに人生を戦略化する上で、非常に重要な教訓を与えてくれます。
私たちが学んだ「行動・学び」は以下の通りです。
- 学び:メディアの煽りに惑わされず、数字に投資せよ。
- 投資や自己改善において、感情を揺さぶる「メディアの煽り」は常に存在します(例:「AIが全てを変える」「このサプリが奇跡を起こす」)。しかし、本当の教養とは、そのメディアの煽りを信じる前に「科学的・戦略的な証拠(今回の場合は財務データ)」を突き合わせることです 。
- 行動:企業のモートを「3つの指標」で定期チェックせよ。
- バフェットの教えである「ルールその一、絶対にお金を失うな」を守るためには、企業の競争優位性が本当に健全かを判断する習慣が必要です。
- 具体的な行動として、投資を検討する企業、あるいは保有し続ける企業について、「売上高の伸び」「営業利益率の推移」「フリーキャッシュフローの増減」の3つを半年に一度チェックする習慣を身につけましょう。これらの数字が向上していれば、世間の煽りに関わらず、その企業は「素晴らしい会社」であり続けている可能性が高いです。
私たちは、AIショックに怯える必要はありません。正しい教養と科学的思考をもって、感情的な波に乗らず、事実に基づいて冷静に判断する。これが、バフェットがGoogleから教えてくれた最も重要な投資戦略です。
根拠として参照した動画はこちら



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